仙台高等裁判所 昭和25年(ネ)152号 判決
原審昭和二十四年(行)第三八号事件に対する控訴事件は、昭和二十六年三月二日控訴人(被参加人)のした控訴取下により終了した。
原審昭和二十四年(ワ)第二四五号事件に対する控訴を棄却する。
前項の控訴費用は控訴人佐藤英男の負担とする。
二、事 実
原審昭和二十四年(行)第三八号事件控訴人の補助参加人、同年(ワ)第二四五号事件控訴人の訴訟代理人は、「原判決を取消す、原審昭和二十四年(行)第三八号事件の部分につき被控訴人の請求を棄却する、原審昭和二十四年(ワ)第二四五号事件の部分につき被控訴人は控訴人に対し別紙第一目録記載の土地を引渡せ、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする」との判決を求めた。
被控訴代理人は原審昭和二十四年(ワ)第二四五号事件の部分につき控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張は、原審昭和二十四年(行)第三八号事件の部分につき、補助参加人代理人において「被参加人のした本件控訴取下は補助参加人代理人のした本件控訴申立の直後ならば格別、本件のように相当期間経過後においては補助参加人を無視してこれをすることは許されないものであるから右控訴取下は無効である」と述べ被控訴代理人において「右控訴は適法に取下げられたものである」と述べた外、原判決事実摘示と同じであり、又証拠の提出援用認否もすべて原判決事実摘示と同じであるからいずれもこれを引用する。
三、理 由
先ず原審昭和二十四年(行)第三八号事件に対する控訴の部分について案ずるに、記録に徴すると、補助参加人代理人は昭和二十五年九月四日当裁判所に対し被参加人(一審被告)宮城県知事佐々木家寿治のため補助参加の申立をすると同時に、被控訴人(一審原告)と被参加人(一審被告)との間の原審昭和二十四年(行)第三八号事件につき原裁判所が昭和二十五年八月十四日言渡した被控訴人勝訴の判決に対して適法な控訴の申立をしたものであることが明であつて、補助参加人代理人のした右控訴の申立は被参加人のためにもその効力を生じたものであることはいうまでもないところである。しかるに、記録に徴すると、被参加人はその後昭和二十六年三月二日書面により右控訴を取下げたことが明であるから、右控訴事件は右被参加人のした控訴取下により結局すべて終了するに至つたものといわなければならない。
補助参加代理人は、被参加人のした右控訴の取下は、補助参加人代理人のした控訴申立の直後ならば格別相当期間経過後においては補助参加人を無視してすることを許されないものであるから、右控訴の取下は無効であると主張するが、被参加人である控訴人は控訴審の終局判決あるまで何時でも控訴を取下げ得るは勿論、これについて補助参加人から何らの制約をも受けるものでなく又補助参加人の訴訟行為は被参加人のそれと牴触する限り効力を生ずる余地がないものであることはいうまでもないから右主張は理由がない。
よつて前示控訴事件は被参加人のした前示控訴の取下によりすべて終了したものであるから補助参加人代理人の本案の主張についてここに判断する要のないものであることは勿論である。
次に原審昭和二十四年(ワ)第二四五号事件に対する控訴部分について案ずるに、控訴人の主張は要するに別紙目録第一記載の農地は控訴人に対する自作農創設特別措置法による売渡通知書の交付により控訴人の所有に帰したから被控訴人に対し右農地の引渡を求めるというにあるが、右農地売渡処分の前提となつた右農地の買収処分については被控訴人においてその効力を争い、被控訴人より宮城県知事を被告として右買収処分無効確認の訴訟を原審に提起し、原審において昭和二十四年(行)第三八号事件として審理し、昭和二十五年八月十四日被控訴人(一審原告)勝訴の判決言渡があつたこと及び該事件について控訴人が当裁判所に第一審被告のため補助参加の申立をすると共に控訴を提起したがその後被参加人(第一審被告)において控訴の取下をしたため結局該控訴事件は終了し、従つて第一審原告である被控訴人勝訴の判決が確定したことは、いずれも前段説明のとおり記録によつて明なところである。しからば控訴人主張の前示農地の売渡処分は、その前提である右農地の買収処分の無効であることが確定し、これに対しすべての関係人が拘束されるに至る結果、結局無効に帰するを免れないものといわなければならない。
かような場合において右農地売渡処分により右農地が控訴人の所有に帰したことを前提として右買収処分の目的物である本件農地の引渡を被控訴人に求める控訴人の本訴請求はこれを認容することができないものというべきである。よつて控訴人の本訴請求は爾余の争点につき判断するまでもなく失当である。よつてこの点については本件控訴は理由がなく原判決は相当であるから民事訴訟法第三百八十四条第九十五条第八十九条を適用すべきものである。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 谷本仙一郎 村木達夫 猪狩真泰)
(目録省略)